重力ピエロ/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さんの作品を初めて読みました。理由は話題になっているからという、それだけのことです。

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

amazonレビューで辛い評価もついているので自分に合わないかも、という想像を見事に覆しました。
偉人の名言や文献からの比喩(ハムラビ法典からも)の多用に、なるほど合わない人には合わないかもね、という理由の発見もできました。
連続放火事件が起こりながらも、それを解決していこうとする主人公兄弟の軽やかさと爽快さが読後に残ります。実際犯罪起こって他人に迷惑かかってるから、爽快感を抱くことにやや背徳感を感じながらも。自分の下手くそな比喩で例えるならば、作品中に登場したようにスプレー缶で落書きを下書きなしにシューッと一気に描き上げられたような感じです。
まあ普段から船戸作品を読み過ぎてるせいかもしれません。あっちは主人公以外全員死亡ありきで、民族宗教政治外交を複雑に絡ませ織り上げていく作品ですから。読んだスピードは船戸作品の4倍速でした。


本作に話を戻すと、事件に重きを置くのか、主人公の弟である春という人物を描くのか、微妙な距離感の家族関係を描くのか、という重心を置くのに心を砕かなければならない、バランスをとるのにむずかしい内容だったと思います。もう少しずれてしまうと、ともすると一気に駄作に陥りかねないところです。このバランスにうならされながら一気に読み上げました。
これからは普通の小説を読んでも重く感じてしまうかもしれない。そういう危惧を抱きながら。

(了)