コルトレーン〜ジャズの殉教者/藤岡靖洋

コルトレーン――ジャズの殉教者 (岩波新書)

コルトレーン――ジャズの殉教者 (岩波新書)

Giant Steps

Giant Steps

ジャズサックス奏者であるジョン・コルトレーンの生涯を追うことで、アメリカの黒人奴隷、南北戦争公民権運動までをも浮き彫りにした名著。著者は京都の呉服店主でありながら世界屈指のコルトレーン研究家である藤岡靖洋氏。
新書でありながら売れ行き絶好調で、発売直後にもかかわらず入手困難になっていた。例えば、札幌のジュンク堂で前日在庫があったものが売り切れていたり。この内容で800円というのも安すぎるように思う。


著者は個人的な意見や感情にまかせて書いているのではなく、コルトレーン自身の発言や文書、ジャズミュージシャンや家族からの証言、実際に住んでいた場所、さらにはサックスを購入したときの伝票やレコード会社からの封筒など、数々の証拠から丹念にコルトレーン像を浮き彫りにしている。およそ50年前の史実を追求する作業の困難さ、労力、時間、費用を考えると頭の下がる思い。


読者個人としては、曲名にアフリカの地名を多く用いていることの意味や、「ジャイアント・ステップス」の由来を知ることができた。
同じ著者の作品で、イギリス、アメリカで賞を獲得した「ザ・ジョン・コルトレーン・リファレンス」が邦訳されて発売されることを切に希望する。