空飛ぶタイヤ/池井戸潤

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

言うまでもなく、大変なベストセラーです。その魅力とは、「このあとどうなるんだろう?」という期待を最初から最後まで持続させるところにあると感じました。
私は遅読なので30ページ位一気に読むと息切れしてしまう(つまり一気読みができない)のですが、それでも次の展開が気になってしかたありませんでした。


物語は、赤松社長率いる中小規模の赤松運送が、自社の大手自動車メーカー(読めばどの会社かすぐわかるのですが)製の脱輪事故により、母子に死傷を負わせる事件から始まります。
社長の赤松さんが主人公なのはもちろんなのですが、大手自動車メーカーの部門ごとの人物、メーカー系列の銀行社員、グループ会社の重工メーカーの人物と、出場人物は多岐に渡ります。この財閥系の人物が個性豊かに、会社のためあるいは自分のためと思惑を異にしながらも、立場の違いによりそれぞれの仕事に立ちまわる姿が人間臭くあります。これは中小企業であっても起こることであり、ひと口に大企業病とは言っても、正義感あふれる社員もいることは確かなのです。
社としての判断や決断が、大企業であるが上に自由にならないこと、スピーディーにことが運ばないことが、主人公の零細企業である赤松運送との違いで色濃く現れています。


エンディングがハッピーエンドかバッドエンドなのかはネタバレになるので申しません。
企業とはなんなのか、仕事とはなんなのか、それ以前に人間として守るべき倫理観はなんなのか。働く人間にとって考えさせられるエンターテイメント作品に仕上がっております。


むずかしい言葉もなく、誰もが読んで考えさせられる一冊となっております。ぜひご一読ください。