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竜王戦がニコニコ生放送で放送されないのではという懸念

竜王戦の挑戦者決定戦、永瀬六段vs渡辺棋王の対決は渡辺棋王の勝利となり、慣れ親しんだ竜王戦への舞台に舞い戻ることが決定した。

 

そこでひとつの懸念が発生した。竜王戦の挑戦者決定戦は囲碁将棋チャンネルのネット配信サービス「将棋プレミアム」で放送されていたのだが、挑戦者決定後、

 

「将棋プレミアムでは竜王戦を生中継します」

という趣旨の発表がされた。

発表直後、鈍感な私は「ふ~ん」程度の思いしかなかったのだが、冷静に考えるとこれは恐ろしいことだ。

 

話が前後してわかりにくくなるが、「将棋プレミアム」竜王戦挑戦者決定戦期間まではサービスお試し期間として通常月額2,000円のところを無料で放送していた。竜王戦期間中は本サービスに移行するので、課金しないとみることができない。

 

そこでだ。ニコ生公式放送では無料放送かつ解説聞き手の先生が付き、対局開始から終局まで放送されていた。しかもサービスが良いことに、長考の間にはメール紹介や雑談、軽い将棋講座やおやつコーナーがあって、ライトな将棋ファンも観戦していた。

このニコ生というリッチな無料放送と、月額2,000円の有料放送が同時放送されるとはとても考えにくい。「将棋プレミアム」が先に生中継宣言したということは、ニコ生側が消える公算が高くなる。有料放送の裏でリッチなコンテンツの無料放送をやられることを黙ってみているわけがない。すわ、ニコ生竜王戦がなくなるのではという懸念が将棋ファンの間で高まった。

 

もうひとつの懸念がある。これは苦い歴史だ。普及の面での反面教師として絶対に忘れてはいけない、過去にあった事件である。

囲碁のタイトル戦もかつてニコ生でプロの解説と聞き手をスタジオに呼んで、無料解説放送をしていた。一部将棋民が流れたこともあり、ライトな囲碁ファンが生まれ、囲碁普及の機運が高まっていた。初心者はルールを知り、ルールを知っている者はプロの深い読みと知識量と研究量に息を呑み、放送は興奮のるつぼと化した。

ところがである。この放送がある段階から有料放送となった。せっかくできつつあったライトな囲碁ファン層は潮を引くように消えていった。現在でこそ無料のニコ生囲碁タイトル戦は復活しているが、立ち会いで現地にいる先生すらニコ生の放送に出てこようとしない、サービス精神のかけらも感じない荒涼とした放送となっている。同日放送されている、予選でしかない将棋の叡王戦に視聴者数で負ける有様である。

課金してまで見ようというのはごく一部のファンだけである。これだけ娯楽が溢れている現在、無料で楽しめるものは他にいくらでもある。竜王戦のニコ生打ち切り、そして竜王戦の有料放送化はライトな将棋ファンが消え去るきっかけになり、せっかくできつつあった将棋ブームが消え去るきっかけになる可能性がかなり高い。

もしニコ生で竜王戦が放送されなければ、将棋ブームの終わりの始まりになるという懸念を強く抱いている。

 

(追記)2015.10.13

竜王戦ニコニコ生放送ではタイムシフト付きでフルに放送されることになりました。将棋プレミアムでは竜王戦放送に関する新たな情報は入ってきていません。放送されない可能性も高くなってきました。記事を書いた時とは逆の流れになってきています。